本薬用植物園の歴史は、福島県二本松市の大学実習所内に、開設の記念として紅白のハナミズキを植樹した1965年7月に遡り、37年の歴史を持つことになります。
当時、薬学部生薬教室古谷教授の構想と計画に基づきスタッフの全面的な協力により、キハダの苗の植栽やダイオウの定植が行われました。その後、良好に成育したキハダの樹皮は毎年採取され、黄柏として生薬学実習の材料に供されたということです。
1972年、薬学部大学院博士課程の設置を機に、大学附属施設として相模原キャンパス内に再スタートしました。「紫湖の原の昔より…」と相模原市民の歌にあるように、現在でも重要な薬用植物のひとつである紫湖がかつて自生していたこの地は、首都圏の都市化に伴い大きく様変わりしましたが、近郊緑地保全区域に指定されて開発に歯止めがかかり、整備された県立相模原公園、県営フィッシングパーク(淡水魚増殖試験場)等の公共施設と共に学園として好ましい環境が保たれています。
一応の整備状況に達した薬用植物園見本園内には1988年に教養B号館(908平方メートル)が、さらに1992年には相模原学生食堂:クレセント(982平方メートル)が相次いで建設され、見本園の形態は著しく変化しました。
そこでこれらの建物との調和を最大限考慮した上で、クレセントの建設工事と並行して従来の温室と従来の温室と栽培見本園(樹木植栽区、管理栽培区、日陰植物区、水生植物区)の周辺環境の整備を行ったり、1992年9月、装いを一新してBIO-GARDENと名称も改め、Dome Conservatory,Woody Plants,Plants in the Manyoshu,Rock Garden,Traditional Medicina Plants,Orchard,Poisonous Plants,Deciduous Trees,Nursery,Aquantic Plants,Plant with Specific Characters,Potentially Usefull Plants区から構成される薬用植物園の新たな第一歩がスタートしました。
BIO-GARDENの中心は、古谷園長(当時)独自の構想を具体化した特徴的な構造のドーム型温室(愛称:相模原ドーム)です。
360°展開したドーム内には充分な太陽光が取り入れられ、さらに早苗照明灯による光の調節や温度、灌水の環境制御システムを導入し、熱帯・亜熱帯の薬用植物を効率的に植栽して展示効果を高めていました。
Woody Plants区では芝生とのコントラストを活用した展示を行い、Traditional Medicinal Plants区には日本薬局方収載生薬の基原植物を中心に栽培し、野外早苗実験場としてNurseryを設置するなど、園全体の景観や季節に合わせて薬用植物の色、形、香りを体験できるように工夫して配置しました。
同時に、BIO-GARDENから約200m離れた総合駐車場西側の試験栽培圃場も、これまでに導入・保全を行ってきた薬用植物資源の系統的展示や研究材料の栽培実験状況をさらに見学しやすくするために見学通路の整備を行いました。
2003年3月相模原キャンパスの再編成に伴い,試験栽培圃場が駐車場に転用されることから、新たに第1グランド内に1,400m2の試験圃場が設置されました。
沿革
- 1965年 7月
- 福島県二本松市の大学実習所内に薬用植物園を開設。
- 1972年 7月
- 相模原キャンパス内に大学附属施設の薬用植物園を新設。
- 1975年 4月
- 薬学部教授会選出の薬用植物園運営委員会が発足し、管理・運営にあたる。
- 1977年11月
- 薬学部附属施設となる。
- 1984年 2月
- 栽培試験圃場の移転。
- 1985年 3月
- 二本松実習所内の薬用植物園を閉園。
- 1988年 2月
- 見本園内に教養部B号館建設。
- 1992年 3月
- 見本園内に相模原学生食堂(クレセント)建設。
- 1992年 9月
- バイオガーデンおよびドーム型温室が完成。
- 2010年 3月
- 薬学部附属薬用植物園試験圃場を新設
概要
- 設立
- 昭和47年
- 総面積
- 6,302m2
- 植物の種類
- 約900種類(うちドーム温室内200種)
- 開園日
- 大学の休日を除く毎日
- 開園時間
- 9:00〜17:00 ドーム温室は日、祝日閉室(その他、臨時閉室あり)
- 入園料
- 無料